世界最大級の証券取引所NYSEが、ブロックチェーン技術を1年間ひそかに検証していたことが判明。仮想通貨と伝統的金融の関係が変わりつつある動きを解説します。
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「仮想通貨は投機」で片付けていいのか
仮想通貨のニュースを追っていると、「価格が上がった」「下がった」という話題が目に入り、「結局これは一時的なブームなのでは」と感じることがあるかもしれません。実際、ここ数年の値動きの激しさを見ていると、腰を据えて関わっていいものかどうか、判断に迷う場面は少なくないはずです。
しかし2026年9月、そうした見方を一度立ち止まって考え直させるようなニュースが飛び込んできました。世界最大級の証券取引所であるNYSE(ニューヨーク証券取引所)が、ある技術を1年間にわたって検証していたことが明らかになったのです。
値動きだけではない、もう一つの動き
仮想通貨に興味を持ち始めた人の多くは、まず価格チャートやニュースのタイムラインから情報を得ることが多いと思います。さらに「業界の裏側で何が進んでいるのか」まで目を向ける余裕はないというのが現状と思います。
実際、値動きの裏側では、価格とは別の軸で「この技術は実務で使えるのか」を検証する動きが、時間をかけて静かに進んでいることがあります。今回のNYSEの件も、まさにそうした動きの一つです。派手な発表がなかった分、注目されにくかったニュースとも言えます。
何が起きたのか
2026年9月18日、ニューヨークで開催された「Avalanche Summit」というイベントの場で、ブロックチェーン企業Ava Labsの社長チャーリー・クーパー氏が、ある事実を明かしました。
NYSEが、Avalancheというブロックチェーンの技術を、この1年間テストし続けていたというものです。
クーパー氏によると、NYSE側は技術面だけでなく、「このプロジェクトにどれだけの事業性があるのか」という経済的な側面についても質問を重ねてきたとのことです。単なる興味本位の検証ではなく、実際の業務に組み込めるかどうかを、かなり踏み込んで確認していた様子がうかがえます。
同じ会場では、投資家のケビン・オレアリー氏も取材に応じており、「次の投資サイクルに向けて、新しくポジションを買い始めた」と述べています。オレアリー氏は、「大手の証券取引所が、どこかのブロックチェーンを採用する瞬間こそが、業界全体にとっての大きな転換点になる」という見方も示しました。
ただし、これは特定の銘柄やチェーンを名指しで推奨したものではなく、「どのチェーンが実際に業界標準として広がっていくのか」を注視しているという趣旨の発言である点には注意が必要です。あわせて、ビットコインについては、金と同じように代替資産全体のうち1〜3%程度が配分される可能性があるとの見方も示していますが、これはあくまで一投資家個人の見立てであり、確定した数字ではない点には留意が必要です。
ここで一つ補足しておきたいのが、「ブロックチェーン」という言葉についてです。簡単に言うと、取引の記録を1つの管理者だけでなく、複数の参加者で同時に共有・検証しながら保存していく仕組みのことで、記録の改ざんがされにくく、誰が見ても同じ履歴を確認できる点が特徴とされています。NYSEが検証していたのは、この仕組みを実際の証券取引の基盤として使えるかどうか、という部分になります。

なぜNYSEはブロックチェーンを検証しているのか
NYSEがこうした検証を進めている背景には、「トークン化」という考え方があります。トークン化とは、株式や債券が持つ権利を、ブロックチェーン上のデジタルな記録に置き換えることを指します。
現在の株式取引の仕組みでは、注文が成立してから実際の受け渡し(決済)が完了するまでに、数日かかるのが一般的です。これに対して、権利の記録がブロックチェーン上にあれば、決済の処理をほぼリアルタイムに近い形で進められる可能性があるとされています。

NYSEは実は2026年1月の時点で、トークン化した米国株やETFをオンチェーンで取引・決済できるプラットフォームを開発していると発表していました。「オンチェーン」というのは、その取引記録がブロックチェーン上で処理される、という意味の言葉です。今回明らかになったのは、その構想を実現するための技術検証の一つとして、Avalancheが具体的な検証対象になっていたという事実になります。
さらに、2026年8月にはNYSE社長のリン・マーティン氏が、オンチェーン決済基盤の構築を継続していると発言していたほか、今回の発言があった9月18日には、米SEC(証券取引委員会)がトークン化株式のオンチェーン取引を可能にする新しい制度を打ち出したばかりというタイミングも重なっています。
これは「イノベーション適用除外」と呼ばれるもので、これまでの規制の枠組みそのままでは扱いにくかった新しい仕組みについて、条件付きで試験的な運用を認める措置のことです。NYSEの親会社であるICE(インターコンチネンタル取引所)の幹部も、Avalancheについて「求める要件の多くを満たしている」とコメントしたと報じられています。
こうした一連の流れを踏まえると、仮想通貨をめぐる話題が、投機的な値動きの話だけでなく、金融インフラそのものをどう作り直すかという話に広がりつつある、という見方もできそうです。
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気をつけておきたい誤解
ここまでの内容を読むと、「NYSEがAvalancheの採用を決めた」というように受け止めてしまいそうになりますが、実はそうではありません。クーパー氏自身は、採用が確定したとは一切述べておらず、「どこまで話が進んでいるかは、NYSE側が公表すべきことだ」と、あえて一線を引いています。
また、NYSEが検討している設計自体も、特定のひとつのブロックチェーンに絞り込むというより、複数のネットワークに対応できる形を目指しているとされています。つまり「Avalancheに一本化される」という話ではなく、「候補の一つとして、かなり本格的に検証されている」という段階と捉えておくのが正確です。

規制の面でも、まだ整理しきれていない部分が残っていて、オレアリー氏は、仮想通貨関連の規制法案(CLARITY法案)の審議が中間選挙後にずれ込む可能性があるとしつつも、デジタル資産に対する税制のルール整備が進むことで、規制全体の議論も自然と加速していくのではないか、という見方を示しています。あくまで一つの予測であり、実際の政治日程がどう動くかは今後の報道を待つ必要があります。
ここで仮想通貨に関する注意点です。今回のようなニュースは、価格への期待感につながりやすい面がありますが、仮想通貨は価格変動が大きい資産であり、将来の値動きを保証するものではありません。今回の検証や発言も、最終的な採用や具体的な導入時期を確約するものではなく、あくまで現時点での報道や関係者の発言にもとづく内容である点は、押さえておく必要があります。
過去を振り返ると、ビットコインの上場投資信託(ETF)が承認された際にも、機関投資家の参入拡大への期待が同じように語られていました。今回の一連の発言も、それと似た形で「期待先行」の側面を含んでいる可能性がある、という見方もできそうです。
これから何を見ていけばいいのか
今回のニュースをきっかけに意識しておきたいのは、「トークン化された株式は、配当や議決権といった従来の株主の権利をどう引き継ぐのか」「規制当局の承認がどのように進んでいくのか」といった、今後の続報です。NYSE以外の主要な取引所が、同様の検証をどこまで進めているのかも、あわせて注目しておきたいポイントです。
こうした動きを追いかける中で、自分がすでに保有している仮想通貨の損益状況を、この機会に一度整理してみるのも一つの方法です。
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まとめ
NYSEが1年間にわたってAvalancheの技術を検証していたこと、そして投資家のケビン・オレアリー氏が投資を再開したと発言したことは、いずれも2026年9月18日、ニューヨークで開催されたAvalanche Summitの場で明らかになりました。これは、仮想通貨が投機的な値動きの対象としてだけでなく、金融インフラの一部として検討され始めていることを示す一例と言えそうです。
ただし、NYSEがAvalancheを最終的に採用するかどうかや、具体的な導入時期については、現時点では未確定な部分が多く残っています。今後の報道や続報を、引き続き注視していきたいところです。
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