Revolutがユーロ連動ステーブルコイン「EURR」を発表しました。Visaなど大手の参入が相次ぐ一方、市場成長は頭打ちで、USDT・USDCが約85%を占める寡占構造が続いています。
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海外のニュースをチェックしていると、大手フィンテック企業が次々と独自のステーブルコインを発表しているのを目にすることが増えてきました。今回はイギリスの金融アプリ大手Revolutが、ユーロに連動した新しいステーブルコイン「EURR」の提供を始めたというニュースを取り上げます。
ステーブルコインのニュースが分かりにくい理由
実際、ステーブルコインという言葉自体は聞いたことがあっても、それが銀行や決済アプリの取り組みとどうつながるのか、いまひとつピンとこないのではないでしょうか。
ニュースの見出しを見て、「また新しいコインが登場したことはわかる。でも、それが自分にとって何を意味するのかまではわからない」、そんな状態の方も多いと思います。さらに海外の企業名や制度名まで入ってくると、もうチンプンカンプンになります。
投資対象として押さえておくべき話なのか、それとも、自分には関係のない海外の事情なのかと判断がつかず結局スルーしてしまう。そんな経験、あると思います。
今回のRevolutの発表も、単体のニュースとして見るとその位置づけが掴みにくいものですが、暗号資産と決済の世界がどこに向かっているのかを知る手がかりとして、丁寧に見ていく価値はありそうです。
RevolutのステーブルコインEURRとは何か
まず今回の発表内容を整理すると、Revolutは2026年8月26日、ユーロと価値が連動するステーブルコイン「EURR」の提供を開始したと発表しました。
ステーブルコインとは、法定通貨や特定の資産に価値を連動させることで、価格の変動幅を抑える設計になった暗号資産のことです。ビットコインのように価格が大きく上下する暗号資産とは異なり、「1EURR=1ユーロ」に近い価値を保つことを目指して設計されている点が特徴です。
法定通貨や国債などの裏付けとなる資産を発行体が保有し、その価値に見合った分だけコインを発行する仕組みになっているのが一般的です。
EURRは当初、デンマーク・ポーランド・ポルトガルの対象ユーザー向けに提供され、Revolutのアプリ内でユーロと暗号資産をオンチェーンで行き来できるようになるとされています。
オンチェーンで行き来するとは、取引の記録がブロックチェーン上で処理されるということです。銀行の送金のように内部の帳簿だけで完結するのではなく、外部から検証できる形で取引の履歴が残る点が、従来の送金方法と異なるところです。

Revolutのステーブルコイン担当者は、これまで外貨両替の手数料や手間をなくしてきたのと同じことを、今度は暗号資産の分野でも実現するという趣旨のコメントを発表の中で述べています。同社は今回のEURRを「ステーブルコイン戦略の第一歩」と位置づけており、今後は他通貨と連動するトークンの展開や、欧州経済領域の他の地域への拡大も予定しているとのことです。
なお、ステーブルコインは価格の変動幅を抑える設計であるとはいえ、裏付け資産の管理体制や発行体の信用状況によっては、想定した価値を維持できなくなるリスクがゼロというわけではありません。実際にEURRの発行や資産準備の管理は、Stripe傘下のステーブルコイン基盤企業Bridgeが担うとされており、こうした裏付け構造も含めて内容を把握しておくことが大切です。
暗号資産全般に言えることですが、名称に「安定」を示す言葉が含まれていても、価格変動や制度面のリスクと無縁になるわけではない、という点は押さえておきたいポイントです。
ここまでの内容を整理すると、今回の一件は「ある企業が新しいコインを出した」という単発の話ではなく、決済の裏側の仕組みそのものが少しずつ組み替えられつつある、という大きな流れの一部だと捉えることができます。
世界で相次ぐステーブルコイン参入の背景
今回のRevolutの動きは、決して単独の出来事ではありません。Visaやスウェーデンの決済大手Klarnaをはじめ、複数の大手銀行もこの1年でステーブルコイン関連の取り組みを相次いで発表しており、暗号資産の世界だけにとどまらず、決済の主流の一角にステーブルコインが組み込まれつつある流れが見て取れます。
かつては暗号資産の取引所内でやり取りされる存在だったステーブルコインが、送金や決済といった日常的な用途に広がりつつある、というのが近年の大きな変化です。
この背景の一つとして、アメリカで2025年7月にステーブルコインを規制する法律「GENIUS法」が成立したことが挙げられます。この法律では、ステーブルコインの発行体に対して、裏付け資産として現金や短期国債などの流動性の高い資産を保有することや、その内訳を毎月開示することなどが求められるとされています。
こうした法整備によって、企業がステーブルコイン事業に参入しやすい環境が整ったとの見方もあり、今回のような大手企業の相次ぐ参入を後押しした要因の一つと考えられます。
ステーブルコインをめぐる制度整備が進んでいるのはアメリカだけではなく、香港でも発行体にライセンス取得や準備資産の裏付けを義務付ける制度が2025年に施行されるなど、各国・地域でルール作りが同時並行で進んでいる状況です。

一方で、市場全体を見ると勢いに陰りも見え始めています。暗号資産関連のデータを集計・公開しているWebサービス、DefiLlamaのデータによれば、ステーブルコイン全体の時価総額は2026年に入って伸びが頭打ちになっているとの報告もあります。また、Visaが集計した実際の利用状況を示すデータでも、2023年半ば以降続いていた取引量の増加傾向が、今年は落ち着きを見せているとされています。
大手企業の参入が相次ぐ一方で、市場の拡大ペース自体はやや踊り場に差しかかっている、という少しちぐはぐな状況が今のステーブルコイン市場の実情だといえそうです。
そして、現状において市場の中心にあるのは、依然としてTetherの「USDT」とCircleの「USDC」です。
DefiLlamaのデータによると両者を合わせて、流通するステーブルコイン全体のおよそ85%を占めているとの報告もあり、PayPalが独自のステーブルコインを立ち上げてから3年が経過した今でも、この2つのドル建てステーブルコインの優位は揺らいでいません。
それに比べると、ユーロに連動したステーブルコインの存在感は、全体で見るとまだごくわずかというのが実情です。EURRのような新規参入組がこの構図にどう食い込んでいくのか、今後の動向を注視したいところです。

日本の暗号資産との付き合い方における位置づけ
このように、大手フィンテック企業や決済会社が足並みを揃えるようにステーブルコイン事業へ参入している背景には、規制環境の整備と「送金・決済の効率化」という共通のニーズがあります。
日本国内でもステーブルコインをめぐる制度整備は進みつつあり、海外の動きを早い段階で押さえておくことは、今後の暗号資産との付き合い方を考えるうえでの土台になります。
特に、大手フィンテック各社がそれぞれ異なる通貨・地域からステーブルコインの提供を始めている現状は、今後どのステーブルコインが主要な選択肢として残っていくのかを見極めるうえでの重要な観察ポイントになりそうです。
ニュースの一つひとつを個別に追うだけでなく、こうした大きな流れの中で今回の発表を捉えておくと、次に似たニュースが出てきたときの理解もぐっとスムーズになるはずです。
暗号資産の損益管理という新たな課題
海外の暗号資産やステーブルコインに関するニュースを追っていると、実際に自分の暗号資産を売買・交換した際の損益がどうなっているのか、気になる場面も出てくるかと思います。特に複数の取引所やサービスをまたいで暗号資産を保有している場合や、異なるステーブルコイン同士を交換するような取引を行った場合、年間の損益を自分で正確に計算するのは手間がかかりそうです。
PR:そうした場合には、暗号資産の損益計算サービス「cryptact」のような、取引履歴を取り込んで損益を自動的に計算してくれるツールを活用するという選択肢もあります。複数の取引所やウォレットの履歴をまとめて管理したい場合は、一度サービス内容を確認してみるのも良いと思います。
まとめ
Revolutによるステーブルコイン「EURR」の提供開始は、決済とステーブルコインの距離が急速に縮まっていることを示す出来事の一つといえます。市場全体としては伸びの鈍化も見られる一方、大手企業の参入は今も続いており、規制の整備と歩調を合わせながら、今後もこうした動きは注視する価値があるテーマです。今後、他の大手企業から同様の発表が出てきた際にも、今回整理した「裏付け資産」「オンチェーン」「規制の枠組み」といった視点を手がかりにすると、ニュースの内容がより理解しやすくなると思います。
※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。また、暗号資産は価格変動等のリスクを伴うため、実際の売買や利用にあたってはご自身の判断と責任で行うようにしてください。
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